会社名 - Poetic Bridge "AMA-HASHI(天橋)"
The Poem of the Week  
  

Weekly a beautiful poem & illustration by important poets from all over the globe, a cultural bridge, a piece of beauty, picked up in the world’s poetic garden

これらの詩は、ジャーメイン・ドルーゲンブロートのもとに寄せられる世界からの詩人の作品から選ばれ英語に訳されたもので、十二ヶ国語に訳され、それぞれの国で発表しています。これは日本語版です。

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今週の詩


最後の願い

無風
何度も何度も懇願してきた
そしていつも怒り狂う顔を
見てきた

これが最後だ
私の手を取り
国境まで
運んでほしいと
懇願する
しかし国境警備隊へ
引き渡さないでほしい
我らのオリーブの樹々の間の
ハンモックのところへ
寝かせてほしい
なだめ
口笛の
子守唄を。
   
フセイン・ハバシュ(キルギスタン)

イタカ
   ジャーメイン・ドルーゲンブロートに捧げる

他銀河より 
降りかかる 
人工的な 
イタカの太陽

光で 
囲まれた 
白い円形のよう

夜に 
ゴーストたちの 
ひとつが魂を 
浪費したよう

神が、
無意識に、
夜明けで作った 
楽園

イネス・プラン子(コロンビア)



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前週までの詩

君の笑顔は 
庭全体を輝かせるなんて 
もちろん大げさだけど 
君が近づき 
一つ花が咲いたのを 
本当に見たんだ

ウィリアム・マー(台湾)





君は気にいるでしょう

素肌を目覚めさせ 
繰り返し満たすその接触で 
生き返らせるその言葉を 
君は気にいるでしょう

瞳に瞳を感じられること 
腕に腕を感じられること 
灰色のアスファルトの道を 
昼の疲れた光の中歩くこと

それぞれの夜明けに戻り 
記憶の差の間の失われた瞬間を見つける 
それらの旅行の繰返しを気にいるでしょう

それぞれの瞬間の呼吸を感じさせ 
呼吸するその空間に入らせるその言葉を 
君は気にいるでしょう

テレサ・パスカル(スペイン)




夜に書く

昼のうちに 
心に落ちた詩を 
夕刻に書く。 
道を歩く 
人々の詩。 
船乗りと 
売春婦の詩。
正午の広場での 
犬の詩。
生きることの 
石、パン、団結の 
しがらみが 
夜に重くのしかかる。 
そして、 
労働者の手に書く 
そして恋人たちの 
瞳について書く。 
そして、夕刻に、太陽の下に 
雨の日に書く。 
そして、書く。

ホセ・エドュアルド・デグラジア(ポルトガル)




浪費もしくは小さな偽り

細かく引き裂かれあまりに無駄な
塩で焦がした数え切れない日々、
その直後の永久的な写真、
もし遅すぎなければ、
私の体内の状態を推測できた
私の身体の刺青は異国の地の太陽の様に輝く。
浴室の死んだ幾つもの星
海の底の棘を探しに行き
あなたを許してあげられた。
無限を断ち切り、壁に貼付け、
待ち、惑星たちがぶつかり合う事を願えた。

そしてなんでもない事で壊れた
この些細な事にどれだけ犠牲を払ったのか
あなたへ電話して伝えられた。

ローラ・ヤサン (Laura YASAN)
アルゼンチン

   


心のカメラ

かつてなく、自分の写真を撮る。 
お互いに肩組をして 
いつも笑顔で 
絶えず幸せの様子
永遠と続くかと 
見事な姿勢で自身を写し込む。

でもその写真に 
心を埋め込めたら 
どうなるだろう?

イオン・ディアコネスク(Ion Deaconescu)
ルーマニア(1947) 




我家へ リリアンへ

手が
どれほど寂しいか
心が
どれほど思慕しているか
不意に気づく時

意識的だったのかどうか 
置き去りにした
場所や時間に
どう帰ろう

ジャーメイン・ドルーゲンブロート(ベルギー)




ことば

その時その時に 
愛は特有の 
ことばを持つ 
例えば、私の肩に寄り添う
あなたのこめかみの柔らかい軽さや 
あなたのドレスが滑り落ちる 
その速さ

ホセ・ルイス・リコ(スペイン)



ある歌

行かないで欲しいかのように 
私の足元に降着するまで 
川や人々の流れを越え 
いくつもの寺や城を通り過ぎ 
民主制のように飛ぶための 
羽を欲しがる私の思想を
ついばむ鳥達に 
何を言いましょう

ハット・フィッシャー(ギリシャ)



でも私にはわかる

かつて蝶であったのかな

産まれる前 
木であったか
星であったか

もう忘れてしまった

でもわかることは
かつてそうであったように  
未来にも私は存在する

永遠の中の 
瞬きの一瞬に

ローゼ・アウスレンダー(ドイツ)




詩心

詩心は 
家に窓があるように
自然的

窓硝子のように 
人工的

窓の向こう側の世界のように 
偶発的

科学のように 
論理的

知識獲得と
喪失の 
接点にあるようだ

 
ヴィアチェスラフ・クプリヤノフ(ロシア)



回想

何時でも舞い戻り私を抱きしめて
身体の記憶が目覚め                 
昔の憧れで再び血が騒ぎ始める時            
唇と肌が思い出し                    
この手でまるで触れているかのように感じる時 
      
愛おしい感覚が戻り私を包み込む 
            
唇と肌が思い出したら、 
夜に、何時でも舞い戻り私を抱きしめて

コンスタンディノス・カヴァフィス  (1863 ‒ 1933) 
翻訳 エドモンド・キーリー/ フィリップ シェラルド
日本語翻訳 リボアル菜巳乃 

English version is here.    



至上の美しさ

貴方が守ってくれる魔法の場所へ 
のがれる 愛する人よ 
草たちも お辞儀する 
生きている森で 
それは この上なく美しいもの 

ローゼ・アウスレンダー (1901 – 1988) 

翻訳 ジャーメイン・ドルーゲンブロート  
日本語翻訳 リボアル菜巳乃

English version is here.
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詩の目覚め

星を見つめていた 
夜が明けるまで 
朝の曙色で、
夜の虹彩が閉じた 
今見た夢は 
ただの夢でなく 
バラの葉脈の
 脈相は
 未来を物語る 

原作:ジャーメイン・ドルーゲンブロート        
 翻訳:ステファニー ヴァン ドピア     
リッチー マカフェリー 
出典:The Ephemeral Flower of Time – De efemere bloem van de tijd POINT Editions 2017 
日本語翻訳 リボアル菜巳乃

English version is here.


渇仰の詩歌

私は砂漠の砂 
渇いた砂漠 
君の唇はオアシス 
私の飲めない所にある 唇

オアシスは受け入れる 
砂漠のすべての砂を 

枯渇した世界の 
真ん中の湿ったところ 
君の身体、
君の身体は もう二度と二人のものとならない 

身体:渇きと太陽で枯渇した私を潤した 
井戸は閉じた 

原作:ミゲル・エルナンデス(1910 – 1942) 
翻訳 ジャーメイン・ドルーゲンブロート         
日本語翻訳 リボアル菜巳乃

English version is here.



創造前に

ああ、アダムなれたら 
肋骨1がそろい
 憧れの女性が 
まだ創造されず 
林檎2の味を 
まだ知らず 
蛇3のささきやを 
まだ聞かず
 裸の羞恥を 
気も付かず 
名付けてもらう 
ことを待ってる 
優しい創造物たちと 
楽園で 

スタンレー H.バルカン(アメリカ) 
日本語翻訳 リボアル菜巳乃

脚注 1.肋骨:旧約聖書で神が アダムの肋骨からイブを 作る 2.林檎:知識の実 3.蛇:イブに林檎の実を 食べるよう勧めた罪

English Version is here.



したたる涙

その人は朝に泣き
昼に泣き 
夕方に泣いた 
朝、息子を失い 
昼、もう一人の息子を失い 
夕方、最後の家族を失った 
翌朝、人々はその人のために泣き 
昼にその人々のために別の人々が泣き 
夜には泣き声は聞こえなくなった 
街中が血の海だった 

フセインハバシュ(1984) キルギスタン 
英語翻訳 ムナ ジナティ&スタンレー H.バルカン
日本語翻訳 リボアル菜巳乃

English version is here.


















冬の庭

あなたから送られてきた手紙
黄色と赤の切手が貼ってあり
心の鉢に
植えました
毎日
水をあげたら
あなたの手紙は
私の中で育ち
美しくて
悲しい手紙
あなたの匂いがする
手紙
もっと早くに
するべきでした
遅すぎる
今ではなくて

ジャーメイン・ドルーゲンブロート


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ともあれ風は吹く

手に負えないと思う人々のために

 
僕はイカロスの弟子になりたかった
カリストスとメリベーアの結婚を祝い
それはずっと美しかった
僕はなりたかった
ネフェリティ女王の前のヒッタイト人に
リオデジャネイロの若きウエルテルに
ドンホセがカルメンを拒んだ
そのセビジェからきた妖艶な女に
 
もし僕が詩人の地球にいたら
緑の木々に白い泉
マヤコフスキーが話すところの
毎年の検閲者
僕はきみを愛していたかった 誓っていい
ただ時が多すぎて望みが足らないのだ
 
 
ラケル・ランセロス、スペイン(1973)



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波の間
 
海は碧く
どこまでも広い
水に足をひたし
波の間の魚を見る
夏はお前たちと共に来る

サラ・キルシュ(ドイツ)


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こんな日のために生まれたのではない
(「静謐なる決意で明日のために」より)

君はこんな日のために生まれてきたのではない
こんなこと
こんな思い
こんな日はもう君の人生の中で二度と起こさせない
そしてこの世の全部の石を投げこもう
 
そんな明日は必ず来る
静謐たる決意で明日を来させてみせる
僕の何を引きかえにしたとしても


上村多恵子(日本)


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なたが呼べば

あなたが呼べば
あなたのもとへまいりましょう
銀杏の黄色の葉たちが
秋の風に舞うように

あなたが呼べは
あなたのもとへまいりましょう
銀の月がひそやかに
湖霧(きり)のなかへ沈むように

あなたが呼べば
あなたのもとへまいりましょう
早春(はる)のお日様 草葉(は)を照らし
青空(おそら)に白鷺(さぎ)が歌うように

辛夕汀(1907-1974) 韓国

翻訳:ジャーメイン・ドルーゲンブロート・すみくらまりこ

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そしてまだ・・・愛してる
(あるマンギャン人の詩)

あなたを思うのが辛い なぜならあなたとの間は果てしない海
わたしとの間には暗い密林があるのだもの
でも心をこめてあなたを思うとき あなたはわたしの前に
立っているように わたしと一緒にいるかのように思えるの

 
翻訳:ジャーメイン・ドルーゲンブロート・すみくらまりこ


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書斎
 
机がある
俺は綴れる 机がある
椅子がある
俺は綴れる
椅子がある
さらには
紙とインクがある
 
俺はこのインクで紙に綴れる
しかし詩は俺の持ち物のなかにない
詩は俺に言うのだ
おまえの持たざるものにあると
 
エドアルド ラナネ、メキシコ(1952-)
英語訳:ジャーメイン・ドルーゲンブロート 日本語訳:すみくらまりこ


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愛 
 
わたしの魂は薄青色のドレス、空の色
海の岩礁においてきて
生まれた姿のままあなたのもとへ来たの
ひとの女に似せて
そして女のように食卓につき
ワインで乾杯して飲み 香らせるのバラの香り
あなたはわたしを綺麗だと思ったのね 夢にみたような
わたし 何もかも忘れちゃった 子供のときのこと ふるさとのこと
ただあなたの優しさに夢中になったことは分かっている
そして微笑みながら鏡を向けて見るようにといったこと
わたしは自分の肩がほこり屑でできているのを見たわ
わたしは自分の美しさが病んでいて
消え入ることだけを望んでいるのを見たわ
ああ わたしを強く抱きしめて
そうすれば何もいらない
 
エディス ソデルグラン(スウェーデン 1892-1923)
 

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愛を教えて
 
愛を教えて
そっと しずかに話して
枝に 野に 小道に
降りつむ雪よりも
オルフェウスの悲しみなんて読まないで
それより水に光がしるしづけることがいいの
リア王が愚痴をこぼすのなんか知りたくない
ただ 期待の糸をつむぐとき
糸繰り車が働くのか知りたい
あなたが教えてくれなくていい
シラノ・ド・ベルジュラックがどんなふうに口説いたか
なぜなら静かな部屋で「ああ」という女はいないのよ
愛を教えて
二つの木が大きくなれるように
そうすれば葉ずれが
不確実にもゆっくりと消えてゆくの
 
マティアス ブロニッシュ(ドイツ)
翻訳:ジャーメイン・ドルーゲンブロート・スタンレーH バーカン
 


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